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「カムランド禅」 -ニュートリノを伴わない2重ベータ崩壊の世界初の発見を目指して-

素粒子実験(ニュートリノ)グループ

素粒子の一つであるニュートリノは電荷がないため、それ自身反粒子である可能性があるがそれは自明ではない。もしそうだとするとニュートリノの質量が他の素粒子に比べて遥かに小さい謎が自然に説明され、同時にとてつもなく質量の大きなニュートリノの存在が導かれる。そのような超ヘビーニュートリノは宇宙開闢時の超高エネルギーの状態でかつて存在した可能性があり、我々の世界がなぜ物質優勢であるかの謎を解く鍵を与えると考えられている。このためニュートリノがそれ自体反ニュートリノである(これをマヨラナ性という)かどうかの検証は極めて重要である。ニュートリノ科学研究センターでは唯一可能な検証である、「ニュートリノを伴わない2重ベータ崩壊(0νββ)」の世界初の発見を目指して神岡の地下1000メートルにある装置を使う実験「カムランド禅」を行っている。この実験は世界最大の1000トン液体シンチレーターを有する実験装置「カムランド」(図1)の中に小さな袋(ミニバルーン、図2)を入れその中をキセノン(136Xe)を大量に溶かし込んだ液体シンチレータで満たし、ニュートリノがマヨラナ粒子であれば起こる「0νββ」を世界最高感度で探索している。「0νββ」探索はその重要性から発見一番乗りを目指して世界中の研究者がしのぎを削っている。カムランド禅実験は新年度から感度をさらに上げ前人未踏の探索実験を行う準備を進めている。

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図1
 
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図2
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