専攻長から

Hiyama Emiko

理学研究科物理学専攻長・理学部物理学科長(2023年度)
肥山 詠美子

物理学は、窮理学と呼ばれていたこともある最も基本的な学問分野の一つであり、自然界の様々な現象を極めることにより、その背後にある基本的な原理を明らかにすることを目的とする学問です。その対象は宇宙・地球・生物・物性・原子・素粒子など多岐にわたり、またそれらの現象を理解することによって見えてくる基本原理の普遍性を基盤にして、さらに根源的な原理または多様な現象の探求へと研究が展開されています。

物理学は、対象となる様々な自然現象を精密に観測、または工夫された刺激を人工的に与えてその応答を調べる精緻な実験から多くのデータを集積して、そこから再現性のある規則を抽出する、その規則の背後にある法則を基本的な数式で定量的に表す、シミュレーションにより現象を再現する、などの手法を駆使することにより自然現象の基本原理を解明してきました。その結果、自然界の真理を探究するための最も基本的な学問分野として、素粒子や原子核などの物質の起源、インフレーションに始まる宇宙の誕生と進化、電子の世界を記述する量子力学に基づく超伝導・スピントロニクス・量子コンピューターなどの革新的な技術開発、生命現象を含む様々な非平衡現象の解明、など人類に新しい知識を与え続けてきました。しかしながら、非常の高度に発展した現代の物理学をさらに発展させるためには、従来の方法にとらわれない独創的な考え方や未知への果敢な挑戦が求められています。

東北大学大学院理学研究科物理学専攻(1911年設置)は、現在約160名の教員を擁し、現代物理学の主要な分野を網羅して最先端の研究を進めている世界トップクラスの研究拠点です(Nature Index によるPhysical Sciences分野の大学ランキングでは国内3位、世界48位)。これは東北帝国大学設立時に人選を任された長岡半太郎博士が当時の物理分野の英才を多く集めて独創的な研究を進めたことに源があります。その伝統を受けて素粒子、宇宙論、原子核分野(ニュートリノ、ハイパー原子核や不安定原子核)と物質の構造と性質を研究する分野(高温超伝導、ナノスピントロニクス、トポロジカル物質、量子多体系、先端フォトニクス、ソフトマター、生命システム)などの研究分野で世界をリードしています。

東北大学で物理を勉強したいと考えている皆様へ
 東北大学物理学専攻・物理学科は恵まれた自然環境としのぎやすい気候を持つ仙台市の青葉山にキャンパスがあります。上に挙げた研究力だけではなく、タイムズ・ハイヤー・エデュケーションによる教育力の評価でも東北大学は3年連続1位となっており、また博士課程に進学している学生の8割以上が給付型の奨学金を得て研究に専念しています。このように、ここは皆さんが伸び伸びとした環境でじっくり物理の実力を養うのに最も適した場所です。大学院説明会など進学に関する情報は、今後理学研究科および当物理学専攻のホームページにて随時発信しています。これからの世代を担う好奇心と想像力を持ち、研究に対する強い意欲と勇気を持つ皆さんと新しい物理を切り開くのを楽しみにしています。

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