専攻長から

yamamoto

 

 

理学研究科物理学専攻長・理学部物理学科長(2017年度)   
山本 均    

 私たちの宇宙は約137億年前にビッグバンによって始まったとされています。その後数ピコ秒くらい経つとヒッグス粒子の場が宇宙全体を満たして素粒子に質量を与え、数マイクロ秒で陽子や中性子などが生まれ、数分後には軽い原子核が生成されてその後様々な原子核が形成されていきます。これらは10-18mより小さい素粒子から10-15m領域の原子核を経て10-10mより大きな領域の原子や分子をカバーし、さらに惑星(~107m)、惑星系(1013m)、銀河系(1021m)、そして宇宙全体のスケールと続きますが、物理学は時間においてもサイズにおいてもこのような非常に広い階層領域を対象としています。
 物理学の目標はこれらの多様な自然現象をなるべく少ない基本原理から統一的・系統的に理解することです。物理学は物質のより基本的な成り立ちを求めて、分子、原子、原子核、素粒子と自然の階層構造をたどり、物質のミクロな形態を究極までつきつめてきましたが、そうして到着したミクロの極限である素粒子の世界の理解は、一方でマクロの極限である宇宙の始まりの状態の理解につながっています。
 一方、非常に多数の構成要素(物質)が凝縮した集団系は、基本的な相互作用だけでは直接理解できない性質を発現する事も知られています。そのような現象の研究は半導体やレーザーなどの多くの応用を生んできました。物性物理に代表されるこれらの物質の多様性の解明と新たな物質の創成も、物理学のもう一つの目標です。
 これらの多種多様な現象の研究に対応できるように、東北大学 物理学教室・物理学専攻は、協力講座を含め約160名の世界の第一線で活躍する教員を擁し、素粒子・宇宙理論、原子核理論、物性理論、素粒子実験、原子核実験、物性実験、生物物理等の広い研究分野をカバーする国内外でも最大級の物理学研究組織になっています。物理学のさらなる発展のためには新たな発想を持った研究者を生み出していくことが必要不可欠です。好奇心と想像力を持ち、成功に向けた強い意欲を持った学生の皆さんの参加を待っています。

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