専攻長から

Iwai

理学研究科物理学専攻長・理学部物理学科長(2021年度)
高橋 史宜

 物理学は、自然界で起きている様々な現象をつぶさに観察することで、その背後に潜む基本的な法則や原理を発見し、それらに基づいて新しい現象を説明、予測する学問です。その対象となる空間スケールは、小さいもの(プランク長さ)から大きいもの(観測可能な宇宙の大きさ)まで実に60桁程度にも及びますが、これほど広い領域をカバーする分野は他にありません。

 これまでに物理学は、この世界を構成している基本要素である素粒子や原子核、インフレーションに始まる宇宙の誕生と進化、物質の構造と電子状態など様々な自然現象に関する多くの謎を解き明かしてきました。その過程において、ニュートリノやヒッグス粒子、重力波、ダークマターの存在など宇宙の成り立ちに関わる発見とともに、X線、核磁気共鳴、レーザー、高温超伝導、カーボンナノチューブなど今ではよく知られた技術の礎が築かれました。これらのイノベーションは、先人が基本法則や原理に基づいて研究を行ってきた結果です。量子力学の発展によって、物理学はこの100年の間、エレクトロニクス、ナノテクノロジー、フォトニクスなどの分野において数多くの新展開を生み出し、更に今、量子情報理論や量子コンピューターが大きな期待を集めています。深刻な環境問題やエネルギー問題に加えて新たな感染症の脅威など多くの課題に直面する現代において、次の100年を切り拓くために、基本法則や原理に基づく物理学のアプローチはますます重要になっていくと期待されています。

 東北大学理学部物理学科(1911年設置)は、現在約160名の教員を擁し、規模、内容ともに世界トップクラスです。研究内容は現代物理学の主要な分野を網羅しています。素粒子、宇宙論、原子核分野(ニュートリノ、ハイパー原子核や不安定原子核の研究など)と物質の構造と性質を研究する分野(物性分野: 高温超伝導、極限的な低温状態、グラフェンなどナノ物質、量子ホール系、ソフトマター、光コンピューターを目指した超高速光機能の研究など)が世界をリードしています。物理学のさらなる発展のためには新たな発想を持った研究者を生み出していくことが必要不可欠です。好奇心と想像力を持ち、成功に向けた強い意欲を持った学生の皆さんの参加を待っています。

新型コロナウイルス感染症に関して
 新型コロナウイルス感染症の蔓延は世界中で大きな問題となり、みなさんの生活にも重大な影響が出ています。今後ワクチン接種が進むことに期待がかかりますが、依然としてこの先の状況は予断を許しません。東北大学・理学部物理学科、大学院理学研究科物理学専攻では、みなさんの健康と安心を第一に考え、授業開始日程、授業形態の変更のほか、状況に応じて可能な限りの対応を行ったうえで、教育、研究を行ってまいります。大学院説明会を含む学務行事の日程変更に関しては、今後理学研究科および物理学専攻のホームページにて随時発信させていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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