大学院の概要

物理学専攻について

 物理学科の歴史は1911年に東北帝国大学の分科大学(理科大学)が設置されたときまで遡ります。初代教授陣には海外留学から帰国した本多光太郎らが迎えられ、教育と研究に心血が注がれるなか、研究第一主義の伝統が生まれました。その後、第2次世界大戦の混乱と学制改革を経て、1953年に東北大学大学院理学研究科物理学専攻がスタートしました。1967年までには、物理学専攻、原子核理学専攻と物理学第二専攻をあわせて20講座の体制となり、名実ともに日本で有数の物理学教室になりました。さらに1994年度から、進展の著しい現代物理学の諸研究分野に柔軟かつ迅速に対応するための新しい研究教育組織を目指す重点化が行われ、従来の物理学専攻、原子核理学専攻、物理学第二専攻が統合されて大学院理学研究科物理学専攻に一本化されました。

 現在の物理学専攻は五基幹講座(量子基礎物理学講座(素核理論)、素粒子・核物理学講座(素核実験)、固体統計物理学講座(物性理論)、電子物理学講座(物性実験)、量子物性物理学講座(物性実験))と二専担講座(領域横断物理学、相関物理学)に加え、附置研究所や学内研究施設からなる6協力講座と、連携大学院から構成されています。素粒子・原子核分野の協力講座としては原子核理学講座(電子光理学研究センター)、高エネルギー物理学講座(ニュートリノ科学研究センター)、および核放射線物理学講座(サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター)が、また、物性物理学分野の協力講座としては結晶物理学講座(金属材料研究所)、金属物理学講座(金属材料研究所)、分光物理学講座(多元物質科学研究所)があり、本専攻の研究・教育に参加しています。また、連携大学院では東北大学以外の研究機関の研究者が研究・教育に参加しています。さらに、2007年には原子分子材料科学高等研究機構が発足し、その教員も物理学専攻の教育・研究に参加するようになりました。

研究室の写真その1 研究室の写真その2 研究室の写真その3

物理学専攻の特徴

 本専攻は、基幹・協力講座、連携大学院合わせて約160名の教員により構成され、国内外でも最大級の物理学教育研究組織となっています。現代物理学の最先端分野のほとんどをカバーし、刺激に満ちた研究環境を提供しています。また、東北大学の物理学分野の研究水準は世界的に見ても極めて高く、研究論文の重要性に関する国際機関による評価では、世界で12位,国内で2位に位置づけられています。(2013年トムソン・ロイター社)
 ここ数年、大学院教育についての改革を進めており、基礎科目から高度な専門科目までを幅広く開講することで、多岐にわたる知識と技能を身につけることができる教育環境を整えています。また、外国人留学生向けの先端理学国際コース(IGPAS)が開設されており、日本人学生もそこで開講される英語の講義の単位を取得することができます。 さらに、リーディングプログラムやスピントロニクス国際共同大学院プログラムなどが採択されており、大学院生が研究に邁進できる環境が整っています。

 本専攻では、博士課程前期2年の課程(修士)の修了生の約2/3が就職し、そのほかの修了生は博士課程後期3年の課程に進学します。物理学の基礎的知識と思考力を身につけていることが評価され、就職先は、産業界の基幹をなす大企業の研究所から大学、国公立研究機関、官公庁、教員など多方面におよんでいます。特に、企業への就職は、電気・電子・情報系・鉄鋼・金属・素材系、重機械・精密機械系、化学工業関連、商社、銀行、生保、報道関係など、多岐にわたっています。
 博士課程進学者は、最先端の研究を成し遂げて博士の学位を取得し、国内外の大学、国公立の研究所、企業の研究所などへ就職して、高度な研究をさらに発展させています。その多くは国際的にも活躍しており、次世代の物理学とその関連分野を担う人材となっています。

講義の様子 写真その1 講義の様子 写真その2 研究室にて学生の打ち合わせの様子 写真
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