中山耕輔助教、高橋隆客員教授、佐藤宇史教授らの研究成果が東北大学からプレスリリースされました。

 

新型鉄系超伝導体の原子層シート化に成功 – 高温超伝導メカニズムの解明に手掛かり-

発表のポイント

  • 新型鉄系超伝導体の硫化鉄を極限まで薄い超薄膜にする手法を開発
  • 超薄膜で起こる高温超伝導の謎を解明
  • 確立した超薄膜作製技術の次世代ナノ材料開発への応用

【概要】
近年、層状物質を原子数個分の厚さまで薄くした超薄膜において、バルク結晶を上回る優れた性質が次々と明らかになっています。その代表例として、鉄系超伝導体の一種である「セレン化鉄(FeSe)」の超薄膜における高温超伝導の発見が注目を集めていますが、薄膜化によって高温超伝導が起きる仕組みはまだ分かっていません。
東北大学大学院理学研究科の中山耕輔助教、同材料科学高等研究所の高橋隆客員教授、佐藤宇史教授らの研究グループは、セレン化鉄と良く似た超伝導特性を持つ鉄系超伝導体「硫化鉄(FeS)」に着目し、その超薄膜を作製する手法を開発しました。その結果、バルク結晶とは異なり、超薄膜化した硫化鉄とセレン化鉄は互いに全く異なる超伝導特性を示すことを発見し、両者の電子構造の分析・比較を行うことで、高温超伝導の実現に必要な条件を絞り込むことに成功しました。
この発見は、高温超伝導機構の最終解明と、より高い温度で超伝導になる物質の設計に重要な指針を与えるものです。また、本研究で開発された薄膜作製技術を応用することで、革新的な機能を持つナノ材料探索が進展することが期待されます。

本研究成果は、米国科学誌Proceedings of the National Academy of Sciences of USA(米国科学アカデミー紀要)のオンライン速報版2019年11月19日号で公開されます。

fig1
硫化鉄薄膜の作製手順

リンク
プレスリリース (東北大学Webサイト)

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