素・核理論

原子核理論

教員

准教授/萩野 浩一 HP 准教授/佐々木 勝一 HP
助教/丸山 政弘 助教/小野 章 助教/谷村 雄介

研究について

原子核理論研究室では、自然界で知られている4つの基本相互作用の一つである「強い相互作用」に関係した非常に広範囲の理論的研究を行っている。その活動は主に二つに分類できる。一つは多数の核子(陽子や中性子)から成る量子多体系としての原子核の構造とそれを支配する動力学についての研究である。もう一つは、多数のクォーク・グルーオンから成る量子多体系としてのハドロン(核子やπ中間子およびその励起状態)の構造や高温高密度核物質についての研究である。

前者は主に萩野、小野により研究が行なわれており、強い相互作用をする核子が多粒子系としての集団をつくることにより初めて現れる、複雑な状態やその動的な時間変化に関する研究を進めている。一方、後者は主に佐々木、丸山により行なわれており、クォークとグルーオンを自由度として強い相互作用を記述する量子色力学(QCD)に基づいて、核子を含むハドロン粒子の研究を行っている。

図は、2つの原子核を衝突させたときに起こる典型的な現象を3つの特徴的なエネルギー領域と本グループの研究内容に関連付けてイメージ化したものである。まず図の左側は、衝突のエネルギーが低いときに対応する。本グループは、このエネルギー領域で起こる核融合反応や弾性散乱、非弾性散乱などの低エネルギー重イオン反応の研究において、多くの研究実績を持つ。その他、近年発展がめざましい中性子過剰核の構造と反応についても研究を進めている。ここでの興味は、核子間にはたらく相関が存在限界近傍の原子核の基底状態や励起状態の構造、及び崩壊や反応のダイナミックスにどのような影響を及ぼすのか、ということである。この他にも、ハイパー核の構造と励起状態についても理論研究を行っている。

中間エネルギーにおける原子核衝突では比較的高温高密度状態が実現し、そのような状況化での原子核の特性(状態方程式) を探ることは、中性子星や超新星爆発などの研究とも密接に関連して原子核物理の重要課題である。近年、この高密度状態が膨張して多数のクラスターが生成される現象:原子核における液相気相相転移の可能性が指摘されている。本グループでは、反対称化分子動力学という独自の理論を用いて研究を進めている。

さらに高いエネルギーで2つの原子核が衝突すると、図の右側に示すように、真空の構造が変化しクォークとグルーオンのプラズマ状態(QGP)が生成されると予想されている。本グループではこのQGPの問題に関する研究についても、超高温超高密度におけるQCDの真空構造の相転移として、QCDの量子多体問題という観点から理論的に研究を行っている。その手法は、場の量子論による解析的なアプローチや時空を格子状に正則化して定義されたQCDの数値シミュレーション(格子QCD)による第一原理計算のアプローチなど多彩である。

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