素・核実験

加速器科学

教員

客員教授/金正 倫計 委嘱教授/田中 万博 委嘱教授/幅 淳二

研究について

当グループは、大強度陽子加速器および加速器を用いた原子核・素粒子物理の研究を行う。

大強度陽子加速器の研究(金正倫計)

図1: 大強度陽子加速器施設J-APRC(茨城県東海村)

 大強度陽子加速器施設(J-PARC)(図1)は、世界最高強度の陽子ビームを生成し、それを用いて素粒子・原子核物理、物質科学、生命科学などの広範囲の最先端研究を行うことを目的として原子力研究開発機構(茨城県東海村)に最近建設された施設である。J-PARCは、リニアック、速い繰り返しの3 GeVシンクロトロン(Rapid Cycling Synchrotron, RCS)、50 GeVシンクロトロン(Main Ring, MR)の3段の加速器から成る。2007年1月リニアックから順次ビーム試験を開始し、2008年5月にMRまでのビーム加速・取り出しに成功した。その後、中性子科学実験施設(MLF)でのビーム供用が2008年12月から開始され、さらに、2009年2月にK中間子の発生、4月にはニュートリノの発生にも成功した。現在は、加速器のビーム出力最終目標(RCS:1MW、MR:0.75MW以上)の早期達成にむけて、電磁石・高周波空胴等の構成機器の技術課題の克服、ビーム不安定要因の解明、等、ハード・ソフト両面の研究を進めている。

大強度陽子加速器を用いたハドロン科学の研究(田中万博)

図2: ハドロン実験施設に設置した二次ビーム分析器(緑色)と超伝導K中間子スペクトロメータ“SKS”(黄色)。
2 GeV/cまでのπ、K中間子や反陽子を用いた高分解能実験のために準備した。

2009年1月27日、J-PARCハドロン実験施設(図2)に、50 GeV-陽子加速器からのビームが初めて導入された。2月10日には生成標的が陽子ビームラインに挿入され、π, K中間子などの二次粒子が実験エリアに導き出され、最初の実験が開始された。
J-PARCハドロン実験施設では、まず世界最強のK中間子ビームを用いて、ハイパー原子核の研究やK中間子の稀崩壊の研究などを展開する。当ハドロン科学グループは、ビームライン、スペクトロメータ系といった基本的ハードウェアの建設を通じて、ハドロン実験施設での素粒子・原子核物理学の研究を推進する。

加速器における素粒子原子核実験システムの開発研究(幅淳二)

図3: LSI技術を応用したシリコンマイクロストリップ検出器。ミクロン精度で素粒子の飛跡を検出する。

素粒子・原子核物理学実験は、かつて宇宙創生の瞬間に発生した素粒子の現象あるいは物理反応を、加速器によって地上で再現し、それを高機能の測定装置で観測分析する物理学である。よってより高性能の加速器とともに最高精度の測定を可能とする実験装置が研究の成否を決め、加速器と測定装置の革新が常に新しい物理学の地平を切り拓いてきたといえる。ここでは、素粒子・原子核物理学の今後の展開を可能とする新しい測定器技術の開発を行っている。これらの技術は、素粒子・原子核分野のみならず、物質・生命科学、さらには核医学における診断分野、非破壊検査などの産業利用にも大きな革新をもたらしうるものである。

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