素・核実験

加速器科学

教員

客員教授/金正 倫計 委嘱教授/田中 万博 委嘱教授/幅 淳二

研究について

当グループは、大強度陽子加速器および加速器を用いた原子核・素粒子物理の研究を行う。

大強度陽子加速器の研究(金正倫計)

図1: 大強度陽子加速器施設J-APRC(茨城県東海村)

 大強度陽子加速器施設(J-PARC)(図1)は、世界最高強度の陽子ビームを生成し、それを用いて素粒子・原子核物理、物質科学、生命科学などの広範囲の最先端研究を行うことを目的として原子力研究開発機構(茨城県東海村)に最近建設された施設である。J-PARCは、リニアック、速い繰り返しの3 GeVシンクロトロン(Rapid Cycling Synchrotron, RCS)、50 GeVシンクロトロン(Main Ring, MR)の3段の加速器から成る。現在は、加速器のビーム出力最終目標(RCS: 1 MW、MR: 0.75 MW以上)の早期達成にむけて、イオン源、電磁石、電源、高周波空洞等の構成機器の技術課題の克服、及びビーム不安定要因の解明、ビーム損失の低減など、ハード・ソフト両面の研究を進めている。
特に、2014年1月からリニアックのエネルギーが設計値である 400 MeV に増強され、さらに、イオン源、及びリニアック上流部の加速空洞が大強度仕様に変更され、RCSとMRのビーム強度の圧倒的な向上が期待されている。

大強度陽子加速器を用いたハドロン科学の研究(田中万博)

図2: ハドロン実験施設に設置した二次ビーム分析器(緑色)と超伝導K中間子スペクトロメータ“SKS”(黄色)。
2 GeV/cまでのπ、K中間子や反陽子を用いた高分解能実験のために準備した。

J-PARC ハドロン実験施設では、50 GeV 陽子加速器から得られる大強度陽子ビームを用いて世界最高強度のK中間子ビームを発生させ、これを用いてハイパー原子核の研究やK 中間子の稀崩壊の研究などを展開している。
当ハドロン科学グループはビーム輸送系やスペクトロメータといった、実験のために必要な大型ハードウェアの設計、建設、運用を通じて、ハドロン実験施設での素粒子・原子核物理学の実験・研究に寄与している。
2018 年1月には陽子ビーム強度は50 kW を超え、ハイパー原子核の研究はこれまでのストレンジネス1個を含む状態の研究から、2個以上のストレンジネスを含む状態の研究に移行しつつある。
このような多重ストレンジネス状態は、中性子星などの高密度環境にのみ存在していると考えられており、その意味で我々は、宇宙深奥の極限状態を実験室内に再現しつつあると言える。

加速器における素粒子原子核実験システムの開発研究(幅淳二)

図3: シリコン結晶中でのコンプトン散乱電子を、先進LSI 技術による微細ピクセル型粒子検出器(SOI Pixel Sensor)により観測(視覚化)した画像。

素粒子・原子核物理学実験は、かつて宇宙創生の瞬間におきた現象を、加速器によって地上で再現、観測分析して、宇宙の基本法則を探る実験物理学である。
そのためには、高性能の加速器が必要なことはもちろん、高精度の観測・測定を可能とする実験装置が鍵となる。
こうした加速器と測定装置の革新が、常に新しい物理学の地平を切り拓いてきたともいえよう。
われわれは、そうした革新をもたらす先端的測定器システムの開発研究を行っている。

開発される技術は、また量子ビームをプローブとして物質・生命などを対象とする科学研究、さらには核医学における診断・治療の分野、非破壊検査などの産業利用にも大きな革新をもたらすものであり、そうした幅広い分野への応用を検討する事も重要な研究テーマとなる。

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