物性理論

物性理論

教員

教授/川勝 年洋 HP 教授/是常 隆 HP 教授/柴田 尚和 HP
准教授/内田 就也 HP 准教授/那須 譲治 HP
助教/泉田 渉 HP 助教/小野 淳 助教/中島 龍也 助教/横山 寿敏
助教/村島 隆浩 助教/Tuan Hung Nguyen

研究について

物性理論グループの研究テーマ。

物性理論グループは、様々な物質の振る舞いを理論的に解明する研究を行っている。以下に我々のグループの目指すものと研究教育環境について紹介する。

物性理論の目的
物質の構成要素となる素粒子やそれらに働く力の種類は少数に限られているにも関わらず、身近な物理現象は多彩である。その多様性は、原子や電子が多数集まることではじめて現れるものであり、そこで生じる様々な現象に対して、その本質を抽出し、内に秘めた普遍的な性質を明らかにすることが物性理論の研究目的である。身の回りの現象は既にわかっているものと考えがちであるが、そこには個々の構成粒子の性質からは全く予想できない多様性があり、還元的な考察では想像も付かないほどの魅力で満ちあふれている。

物性理論の研究対象
物性理論は、身の回りで起こる現象を広く研究対象にする。多彩な構造と特性を示す固体物質や、環境に応じて様々な形状を取り得る柔らかい物質、そして構成要素自身が運動特性を有する生物などの性質を、構成粒子の集団的性質や集団運動に注目して明らかにすることが主要なテーマである。多数の構成粒子によって形成される一般的な多体系を、微視的運動方程式に基づいて解析的に厳密に解くことは不可能である。一方で、扱う多体現象の本質は、少数パラメータで記述される簡素な法則で与えられることも多い。物性理論研究においては、そのような現象を理解するための簡素化された多体模型を考え、それに対して摂動展開などの近似方法を適用する解析的手法や、その模型をスーパーコンピュータなどの大規模計算機を用いて解析する数値的手法が用いられる。いずれにせよ、一体問題とは一線を画した多体系独自の本質を支配する新しい普遍性を見いだすために、様々な手段を用いて研究を行う。多種多様な研究対象がある中で、本物性理論グループは、本学が特に強みを有する材料科学やスピントロニクスの基盤となる電子系・磁性分野において、先駆的な研究を展開してきた。加えて、近年の研究手法や概念の発展に伴って、他分野との「境界領域」である、トポロジー、非平衡現象、ソフトマター、ナノ構造物質、量子情報といった数学、化学、生物学、工学、情報分野にまたがる研究も盛んに行われている。実験研究との連携においても、物性理論の果たす役割はますます重要になっている。

研究室の構成と特徴
大学院での教育・研究は、教授・准教授が中心となる小グループを組織することで、教員と大学院生との個別的な指導により行われている。大学院生は、教授もしくは准教授を指導教員に指定して研究を進めていくが、物性理論グループ全体でも、コロキウム、共通計算機の利用、懇親会など、幅広い交流が行われている。特に物性理論交流室では、くつろいだ雰囲気の中で指導教員以外の教員とも自由闊達な議論が行われている。学生は、この交流を積極的に利用することで広い視野を持つことができる。さらに、本グループは、国際的環境にも恵まれている。毎年多くの外国人のビジターが訪れるだけでなく、外国人のポスドクや学生も本グループに在籍しており、日々の研究活動の中で語学力や異文化の理解、さらに国際的な視点を自然に身につけることができる。本専攻には多くの物性分野の実験研究室に加えて、金研・多元研などの研究所とも協力関係にある。今後も次世代放射光施設の建設に伴い、青葉山・片平地区内での密接した研究連携が期待できる。本グループは、質・量ともに国内外で最大級の物性理論グループであるだけでなく、物性分野において国際的評価の高い研究室が集まる立地を生かして理論研究が実施できる非常に恵まれた環境にある。物性理論の研究を志望する諸君には、これらの卓越した環境を生かして、物理学に新しい貢献をもたらす研究の最先端をめざすと同時に、基礎的な物理の知識も広く学ぶことを希望したい。

各教員の現在のテーマ
各教員の主なテーマ(キーワードのみ)を以下に示す。詳細に関しては各教員に問い合わせたり、Webページを参照されたい。
川勝 年洋:
高分子や界面活性剤等のソフトマテリアルにおけるメソスケール構造とその動力学の理論とシミュレーション。
齋藤 理一郎: 固体物理、半導体物理。特にカーボンナノチューブや原子層物質の電子状態、共鳴ラマン分光、表面プラズモン。
柴田 尚和: 低次元強相関電子系の理論。スピン液体、電荷ストライプ、量子固体など、強相関電子系の多彩な電子状態の数値的研究。
内田 就也: 生物などの非平衡系の協力現象とパターン形成、非線形ダイナミクス、同期現象、アクティブマター。
是常 隆: 第一原理計算に基づく物性解明と物質設計を目指した研究。特に電子格子相互作用やスピン軌道相互作用が絡む物性。超伝導、磁性、異常ホール効果など。
那須 譲治: スピンや軌道といった複数の自由度が強い電子相関によってもつれ合うことで現れる現象に対する理論研究。
泉田 渉: カーボンナノチューブや量子ドット、ナノメカニクスなどのメゾスコピック系・ナノマテリアル。
小野 淳: 強相関電子系における光物性。特に光誘起相転移や超高速現象に関する理論的、数値的研究。
中島 龍也: 半導体における低次元電子系の理論的研究。特に量子ホール効果。
村島 隆浩: 高分子物理、レオロジー、非平衡分子動力学、マルチスケールシミュレーション。
横山 寿敏: 強い電子間相互作用が物性を支配する系の理論的研究。高温超伝導、金属絶縁体転移、磁性、有機伝導系、冷却原子気体など。
Tuan Hung Nguyen: エネルギー応用を目指したマテリアルインテリジェンスの基礎理論とシミュレーション。特に熱電材料、固体電池、人工筋肉。

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