物性実験II

超高速分光

教員

教授/岩井 伸一郎 HP
助教/伊藤 弘毅 助教/川上 洋平

研究について

旧約聖書によれば光は天地創造の初日から存在しますが、この四半世紀の間に起こった光のイノベーションはかつてないほど劇的です。青色LED、超短パルスレーザー、光周波数コム、テラヘルツ光など最先端フォトニクスは、物質中の電流やスピンの配列を自在に操作する、超高速エレクトロニクス、スピントロニクスを可能にします。こうした現在の光科学は、基礎学理として量子多体系の非平衡現象への挑戦でもあります。
本研究グループでは、光による電気伝導性や磁性の制御(光誘起相転移)や高次高調波発生などの光強電場効果の研究によって、現在のエレクトロニクスやスピントロニクスの動作速度(ギガ(十億)ヘルツ)を千倍から百万倍凌駕する超高速(テラ(1兆)ヘルツ~ペタ(千兆)ヘルツ)フォトニクスを目指します。有機超伝導体、高温超伝導体、量子スピン液体/マヨラナフェルミオン物質や、強相関ディラック半金属など、量子多体効果が生み出す「強相関電子」の世界を舞台に、世界最先端のアト秒(アト秒=百京分の一(10-18秒)光技術を駆使して、電子の空間・時間反転対称性を操作し、次々世代の極限光エレクトロニクス・スピントロニクスを開拓します。

図1. 量子多体物質における光強電場効果と
アト秒光機能の開拓

図2.極短パルス光源を用いた超高時間分解測定装置と
光電場のキャリアエンベロープ位相制御 

(1)強相関電子系における光誘起相転移の探索:
有機、銅酸化物超伝導体、ハニカム格子の量子スピン液体、スピン軌道相互作用の大きなディラック半金属、電子間相互作用による空間反転対称性の破れを示す電子強誘電体など、超高速光機能性が期待される物質を対象に、光誘起相転移(光による電子的、磁気的性質の巨視的な変化)の探索を行います。

(2) 単一サイクル位相制御光の発生と極限分光:
短パルス化の極限には何があるのか?光の電場振動が一周期に満たない極限光パルス(5 fs)を開発し、「光の超強電場が電子を非線形駆動する」世界を究極のアト秒時間精度でのぞきます。強相関電子系のフロケ(光と電子の強結合)状態や高次高調波発生を探索します。

(3)広帯域、高強度のTHz光を用いた強相関電子系の電子状態の解明と制御:
テラヘルツ(THz)領域のポンププローブ分光やテラヘルツ波発生イメージングによって、電子状態やドメイン構造を明らかにします。金属とは?絶縁体とは?低エネルギー電子状態から物質の基本的な姿を明らかにします。また、可視 – 近赤外光に比べて、遥かに低エネルギーの高強度THz 光を励起光として量子多体物質の操作を行います。

ページの先頭へ