物性実験I

強相関電子物理学

教員

委嘱教授/寺嶋 太一 委嘱教授/組頭 広志 委嘱教授/山本 浩史

研究について

寺嶋太一委嘱教授(物質材料研究機構)
関連URL:http://www.nims.go.jp/nqt/index.html

20テスラ超伝導磁石・希釈冷凍機システム

物質・材料研究機構強磁場ステーション(つくば市)を利用して、鉄系超伝導体等の超伝導体、CeやUを含む強相関物質の電子状態、超伝導、磁性などを研究する。とりわけ量子振動測定に力を入れている。量子振動とは、電子の磁場中での運動がランダウ量子化を受けることに起因し、磁化、電気抵抗等が磁場の関数として振動する現象であり、フェルミ面、有効質量などの電子状態に関する詳細な情報が得られる。測定には強磁場だけでなく、超低温も必要であり、我々の20テスラ超伝導磁石・希釈冷凍機システム(上図)の場合、試料は絶対温度0.03 Kまで冷却される。また、3万気圧までの高圧力で電子状態をチューンした測定も可能である。これらは世界でもトップクラスの性能である。

強相関電子物理学グループでは国内の最先端研究施設の優れた環境のもとで強相関電子物性の研究教育を行っている。各教員の研究テーマは以下のとおりである。

組頭広志委嘱教授(高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所)
関連URL:http://oxides.kek.jp/

放射光(見る)と分子線エピタキシー(作る)を高度に融合して新しい量子物質の創成を目指す

強相関酸化物と呼ばれる遷移金属酸化物の中には、高温超伝導や巨大磁気抵抗効果などの驚くべき物性を示すものがある。いわば「天才児」達である。その秘密は、電子同士がお互いに強く影響し合う状態にある「強相関電子」にある。近年、これらの強相関酸化物をベースにした量子井戸などの人工構造を作製することで、この強相関電子を制御しようという研究が固体物理学の大きな潮流となっている。当研究室では、この「天才児」の振る舞いを、高エネルギー加速器研究機構の放射光施設Photon Factoryからの放射光を用いて研究している。具体的には、放射光を用いた先端計測(光電子分光・内殻吸収分光など)という「見る」技術と酸化物分子線エピタキシー(MBE)という酸化物を原子レベルで制御しながら「作る」技術を高いレベルで融合するにより、強相関酸化物の物性を設計・制御しながら新しい量子物質の創成を目指している。

山本浩史委嘱教授(分子科学研究所)
関連URL:http://yamamoto-tokyo.jp/ims/index.html

実は、有機化合物は強相関電子系の宝庫である。有機物を使って強相関電子系の物理をやるメリットはいくつもあるが、特に重要な点は、

  • (1) バンド構造がシンプルで、より理論との比較がしやすい。
  • (2) 格子系が柔らかいため、バンド幅を自由に制御できる。
  • (3) 状態密度が低いため、少ない刺激で大きな応答を得られる。
    • の3点が挙げられる。本研究グループでは、有機モット絶縁体と呼ばれる強相関電子系物質を用いて、新しい有機デバイスを作ること、そしてそのデバイス特性を測定することによって強相関電子の新たな一面を解明し、物性物理の基礎学理を深めることを目的として研究を行っている。例えば、有機モット絶縁体を用いてFET(電界効果トランジスタ)を作ると、低温においてゲート電圧や光照射で超伝導転移を起こすことができる。このメカニズムの詳細を今後さらに解析し、新しい物性物理の開拓と新しい電子デバイスの創出を目指す。

      光による超伝導のスイッチング
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