物性実験I

巨視的量子物性

教員

教授/大串 研也
講師/今井 良宗
助教/青山 拓也 助教/富安 啓輔

研究について

研究の概念図

梯子格子における超伝導(左)と磁気四極子秩序(右)

電子が凝集し相互作用する系は、強相関電子系と呼ばれている。強相関電子系では、しばしば対称性の破れやトポロジカル数で特徴づけられる量子秩序が生じ、巨視的なスケールで量子効果が発現する。超伝導・スピン液体・量子ホール効果は、その代表例である。また、量子秩序からの素励起は、位相欠陥・スピン波・エニオンなど、一般に電子の個別励起とは全く異なるものになる。新奇な量子秩序を発見すること、量子秩序の秩序変数と素励起を解明することは、強相関電子系研究の中心課題である。

強相関電子系としては、有機化合物(p電子系)から重い電子系物質(f電子系)に至るまで様々な物質が知られているが、我々が研究対象としているのは遷移金属化合物(d電子系)である。その特徴として、①エネルギースケールが大きいこと、②電荷・スピン・軌道・副格子の内部自由度があること、③量子位相が内在すること、が挙げられる。これらの特徴の存在により、高温超伝導(銅酸化物・鉄ニクタイド)、エキゾチック超伝導(ルテニウム酸化物・コバルト酸化物など)、巨大磁気抵抗効果(マンガン酸化物など)、新奇スピン秩序(銅酸化物・イリジウム酸化物など)を含む、新奇な強相関電子物性が劇的な形で発現する。

遷移金属化合物における強相関電子系の科学を展開・革新する上で鍵となるのが「物質」であることは、歴史を振り返っても明らかである。研究の柱に、「新奇な強相関電子物質の創製」を据えている。様々な固体化学的手法を駆使して、酸化物・窒化物・カルコゲナイド・ニクタイドを含む広範な遷移金属化合物の純良試料を育成している。また、超高圧合成法を用いた新物質探索も行っている。こうして得たバルク試料に対し、電気的・磁気的・熱的・光学的性質をラボベースで測定することで、強相関電子物性の開拓を進めている。さらに、近年長足の進歩を遂げている共鳴X線散乱や中性子散乱など大型施設を利用した量子ビーム研究も積極的に推進し、微視的視点から電子状態を解明している。このような、物質合成を基盤に据えた総合的研究を通して、磁性・超伝導・トポロジカル秩序などの新奇な強相関量子物性を発見することを目指している。

  • (1) 鉄系超伝導体の輸送現象・光物性の研究および物質開発。
  • (2) 電気八極子・磁気四極子など奇パリティ多極子の関与する量子物性の研究。
  • (3) 5d電子系におけるスピン軌道相互作用に起因する量子物性の研究。
  • (4) 高圧合成法による新物質・新超伝導体探索。
  • (5) 共鳴X線散乱法による構造物性研究。
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