現在の位置: TOPページテーマ一覧 > 不思議な水 -ナノ空間に閉ざされた水のふるまい-

不思議な水 -ナノ空間に閉ざされた水のふるまい-

講師 松井広志 (東北大学大学院理学研究科)
URL http://ldp.phys.tohoku.ac.jp/
 水はもっとも身近な物質だが、未だ解明されていない性質が多々ある。例をあげると、4℃のとき最も密度が大きいのはなぜか?液体状態における水の構造はどうなっているか?などである。液体状態における通常の水を、自由水と呼ぶ。これとは対照的に、ナノ空間に制限された水分子を、閉ざされた水と呼び、学際的な研究が進んでいる。こうした水分子は、タンパク質、DNA、燃料電池などの基本的特性にも関係し、重要な役割を果たしている。
 私の研究グループでは、電磁波を用いてナノ空間に閉ざされた水の特性を調べている。ナノ空間といっても、チューブ型の形状、平面状の隙間、カゴ状の空間など様々な構造がある。こうした空間に存在する水分子は、自由水と異なる特性を示し、特異なクラスター構造を見出すことができる。また最近、1次元ナノチャンネル中に形成された水ナノチューブにおいて、それを媒介とした高いプロトン伝導性の観測にも成功している。本授業では、学際的な視点から閉ざされた水の研究の面白さと、最新の話題を紹介したい。