素・核実験

中間エネルギー核物理

教員

教授/前田 和茂

研究について

 中間エネルギー核物理グループは,光子・電子プローブを用い原子核内での中間子,核子,核子共鳴の振る舞い,さらには核子及び原子核内のクォーク自由度の役割を調べることで,ハドロン(強い相互作用をする粒子の総称)多体系である原子核を統一的に理解することを目指している。
 光子は電流に応答する性質を持っている。この性質を利用し,原子核内の電流(陽子が運動することによる電流や,スピンによる磁化電流など)の空間分布を精密に調べることができる。電流の空間分布は原子核の構造を反映するので,原子核,及びその内部を詳細に調べることができる。電子プローブも同様に,仮想光子を原子核との間で交換する。仮想光子は,原子核の電流だけではなく電荷の空間分布を調べることができる特徴がある。私たちは,この光子や電子の優れた特徴を生かし,いろいろな波長の光子(仮想光子も含めて)を使いながら原子核研究を進めている。光子の波長を変えることで,違った空間分解能で原子核に迫ることができるのである。

中間子,核子共鳴の物理
 光の波長を短くする(光子のエネルギーを上げる)と原子核内の核子が見えるようになる。原子核内では核子同士が中間子を交換しながら衝突を繰り返している。更に波長を短くしてみると核子の共鳴状態が原子核の内部に作り出されるようになる。核子共鳴は核子の構造に由来している。光子は核子の内部自由度とも直接電磁相互作用することもできる。原子核内での核子共鳴の性質は自由空間の性質と違っているのだろうか?即ち原子核の中で核子の構造は自由空間での核子と同じなのか?現在この研究は原子核研究の重要なテーマである。本グループは,共鳴領域での全反応断面積の測定や,共鳴の崩壊を詳しく調べる実験でこの物理に挑戦している。

クォーク・原子核の物理
 核子の大きさよりも充分波長の短い高エネルギーの光子は,核子の構成要素であるクォークを直接“ 見る”ことができる。光子で原子核内の核子が調べられるように,核子内のクォーク構造を調べるためGeV 領域電子線による実験を進めている。GeV 領域光子は運動学的条件により(q,q)を生成することが知られている。特に私たちのグループでは,ストレンジネス自由度を持つ(s,s)クォークの生成に着目し,原子核内のストレンジネスの振る舞いや核力に(s,s)クォークがおよぼす影響を詳細に調べる実験を行っている。

共同研究
 私たちはこれらの研究課題を東北大学電子光理学研究センター,東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター,理化学研究所(和光市),大阪大学核物理研究センター,高エネルギー加速器研究機構(つくば市),ジェファーソン研究所(米国)等にある加速器を用い,国内外の研究者との共同研究で行っている。

 また, これら広いエネルギー領域で原子核研究の実験を行うために,エネルギー領域に応じた光子,中間子,陽子,中性子などを検出する測定器の開発研究も行っている。

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