物性実験II

量子伝導物性

教員

教授/平山 祥郎
准教授/遊佐 剛
助教/橋本 克之 助教/Mohammad Hamzah Fauzi 助教/冨松 透 助教/小林 嵩

研究について

 エレクトロニクス産業は半導体デバイスにより支えられています。ナノテクの進歩で線幅が100 ナノメートルを切る半導体製品も出てきました。これらの半導体は工学上重要であるのみならず、物理を研究する上でも格好の舞台を提供してくれます。ナノスケールの半導体ではデバイスサイズが電子の波長程度の大きさになり、量子効果が顕著に表れ、新たな物理現象が現れてくることが予想されています。

 当研究室では、そのような半導体量子構造における新しい物性をキャリア相関をキーワードに研究しています。二次元系ではキャリアのもつスピン、軌道、さらには谷自由度などの制御により多彩な量子ホール効果が実現しています。一方で、主にGaAs 系の半導体を用いて低次元構造に特徴的な物理現象の探索も進めています。細線構造、量子ポイントコンタクトは半導体ナノ構造の基本になるものであり、上下に近接した量子ポイントコンタクトで上下の結合を電気的に制御する研究も進められています。

半導体ナノ構造の一例:積層量子ポイントコンタクト

充填率2/3におけ電子スピン状態転移と抵抗検出NMR

研究に用いる極低温測定装置

 分数量子ホール領域では通常は表に出てこない半導体構成原子の持つ核スピンが大きく影響することもわかってきました。この相互作用は、核スピンをモニターとした電子のスピン状態の研究、ナノデバイスを用いた核スピンのコヒーレント制御、抵抗で検出する高感度NMR、電界による新しい形の核スピン制御などの成果に結びつき、高い評価を得ています。さらに、電気的手法のみならず、光学的手法を用いた核スピンと光の新しいインターフェースの創造にも注目しています。核スピンは化学、医学の世界ではNMR、MRI として広く用いられており、これらを固体物性に応用することは核スピンを含む新しいスピン研究に道を拓くものとして期待されています。

 半導体量子構造におけるこれらの物性研究は、量子相関のコヒーレント制御を操るものであり、将来の固体量子コンピュータに繋がる研究としても大きな期待がもたれています。私たちはGaAs、InSb、その他の半導体 の量子構造を中心にこれらの新しい物性研究に挑戦します。なお、研究は最先端の結晶成長技術を有するNTT 物性科学基礎研究所などの協力を得て行われています。

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