Philippe Chomaz 氏(GANIL, France)

中間エネルギーにおける原子核衝突では、核子がバラバラになり多数の
小さい原子核が生成される多重破砕反応と呼ばれる反応が起きる。Chomaz
氏は lattice gas 模型とよばれる統計力学的手法を用いて、この反応を
精力的に研究をしている40歳代の研究者である。特に、多重破砕反応
で重要になると考えられている原子核の液相−気相相転移に関して、原子核
のような有限系でどのように相転移を定義するのか、相転移のシグナルとして
どのような物理量を見ればいいのか、など様々な新しいコンセプトを提案して
いる。これ以外にも、時間に依存する平均場理論を用いた原子核の集団運動
の記述、低エネルギー重イオン反応、金属クラスターにおける集団運動など
研究領域は多岐にわたる。